続・とある動物病院で
丸くなって寝ているのを見ると、秋だなって思う。
テラさんが子猫時代に行っていた動物病院は、猫の飼い主一年生の私にとっては、不安に思わずにはいられない病院だった。
という前回の話からの続き。
今改めてその病院のことを思い返すと、些細なことを含め、なんか変だったなと思うことはいくつもある。それらをつらつらここに書くのはやめておく。
でも一つだけ書いておきたい、それは絶対おかしい、と感じた場面があった。
ワクチンの件でモヤモヤしながらも、動物病院ってどこも同じようなものなのかなと、そのまま同じ病院で去勢手術をすることにした。
どこも同じじゃない、大違いだよ、と今は当時の自分につっこみたい。
手術当日は午前中に猫を病院に預け、昼間に手術を終えて、その日の夕方には迎えに行けた。
夕方、病院の受付に行くと、手術は無事に終わりましたよーと明るく言われ、ほっとした。早く猫の姿を確認したかった。
しかし、目の前に差し出されたのは、摘出された睾丸だった。
シャーレの中に赤く染まった物体。
ラップをされ、マジックで「テラ」って書いてある。
「これ、テラちゃんの睾丸です。」
飼い主に目視で確認してもらう決まりでもあるのだろうか。
わからないけれど、そうだとしても先に一言、見てもらえるか訊いたらどうだろう。
いきなり見せられて、不快に思う飼い主さんだっているのではないだろうか。
しかも猫より先に。
それからその病院には手術あとの消毒に何度か通い、抜糸のために足を運んだのが最後になった。
抜糸までの何回かの通院では、とにかくこちらから質問した。
それは何をしてるんですか?それは何の機器ですか?どんな効果があるんですか?
こちらに説明なく淡々と作業するので、いちいち訊かねばならなかった。
次の年に、ワクチン接種に来てくれとハガキが届いたが、もうそこへ行く気は全くなかった。病院を変えた。
記事の始めに一つだけ書いておきたいとしたが、もう一つ大事なことを思い出した。
今の病院で指摘されて判明したことなのだけれど、前の病院で受けたワクチンの証明書がないのである。
ワクチンを打った病院から、何という名称のワクチンを接種したが記された証明書が発行されるはずなのだが、私はそれをもらった記憶がない。
これはあり得ないことらしい。
ペットホテルに預けるなど、ワクチン証明が必要な機会がなかったので、一年間気づかなかった。
子猫のワクチンは2回で1セット。2回受けていながら、そういった書面を渡されたり、見た記憶すらない。そもそも証明書の話をされた記憶がない。
こちらが必要な時に要求するまで発行しない仕組みなのだろうか。それにしても、その説明がないのはどう考えてもおかしい。
その病院で、診療や手術に間違いがあったわけではない。
テラさんは術後も何の問題もなく健康に育った。それなのに残念だ。
最初に感じた不安は、最終的に病院への不信に変わってしまった。
ヒトの病院もそうだろうけれど、動物病院もいろいろだ。
ただ、こうも違うものだと思っていなかった。
前の病院の話、終わり。