野良猫と室内猫
昨日の夜中に、外から子供の泣き声が聞こえた気がしてぎょっとしたが、よく聞いたら猫のケンカだった。そういう時期だ。
松尾スズキ氏が自身のコラムで、氏の愛猫「チース」が去勢手術を受けたことを書いていた。私も同じことを思っているので引用させてもらう。チースは室内飼いの雄猫だ。我が家と同じ。
『───セックスしまくりながら早死にする野良猫。セックスを知らずに、自分の性別がなんなのかもよくわからなくなりながら生き延びる猫。どちらが幸せか。俺は猫じゃないのでわからんが、少なくとも、猫の方から「すいません、自分、性、邪魔なんで去勢してください」と言って来ているわけではない───この猫のDNAにとどめを刺したのは自分なのだ。───チースの死を、俺は確実に見るだろう。重いなあ、と思う。───』
TV Bros. 4.14→4.27号 P.16
松尾スズキ「お婆ちゃん!それ、偶然だろうけどリーゼントになってるよ!!」より
手術を受けることで発情期はなくなり、大声で鳴いたり、やたらマーキングしてまわったりしなくなる。まれに手術をしてもおさまらない猫もいるらしいが。飼い主の都合だけでなく、猫にとって良いことがある。交尾したくてもできないストレスは重大らしく、それがなくなる。また、特に雌猫だったか、病気のリスクがかなり減るらしい。
テラさんは生後五ヶ月くらいの時に手術を受けた。
交通事故や伝染病の危険から守るため、終世室内飼いにすると決めていた。限られた空間で人と猫が幸せに暮らすには、手術は必要だと思った。それに、手術をせずに成長してその時期が来れば、猫は必死に相手を求めて外に出ようとするだろう。もしも脱走してしまい、それで生まれてくる全ての命に責任が持てない。特に雄猫の場合は相手の行方も知れない。そう思って手術を決めた。
実はテラさんは、手術を受けていない室内飼いの雌猫さんが脱走した末に生まれた仔猫だった。飼い主さんは責任を持って、仔猫たちの新しい飼い主を探した。その結果、我が家に猫がいる。
人間の世界で、動物が本能のまま生きて行くのは難しい。ゴミと同等に「処分」されている野良猫が、悲しいことに毎日いる。それを重く見て、最近では地域猫の取り組みが進んでいる。不幸な命がこれ以上生まれないよう、地域猫たちには去勢避妊手術が施されることが多い。外で暮らす猫も寿命が延びている。
ただ、猫たちの本心はわかるすべもなく、「長生きなんてしたくないし本能のまま生きたい」と言っているかも知れない。だから、私はテラさんのために良い暮らしをさせてあげてるとは思っていない。自分が癒されたいから一緒に暮らしてもらってる。ある意味、人間のエゴなんだと思っている。
撮影日 2010.12.10
手術後10日目。これ(襟巻き)着けたままよくここに登れるなと思ったものだ。
昨日の写真と比較されたし。現在より小さくて白い。おしりが収まっているし、目をつぶってもどこに目があるのかわかる。